神奈川地域資料保全ネットワーク

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シンポジウム「大災害から地域資料を救い出す―関東の資料保全ネットワークのとりくみ―」の報告

 去る8月4日(土)、みなとみらいエクステンションセンターKUポートスクエアにおいて、神奈川歴史資料保全ネットワーク主催シンポジウム「大災害から地域資料を救い出す―関東の資料保全ネットワークのとりくみ―」が開催されました。
 このシンポジウムは、神奈川県歴史資料保全ネットワークの結成1周年を記念したもので、ほぼ同じ時期に東日本大震災を契機として結成された茨城県、千葉県の組織と情報を交換し合い、人的交流を深める中から今後の活動の方向性を模索していくことを目的としたものです。当日集まったのは38名。中には関西方面など遠方から出席してくださった方もいらっしゃいました。
 司会進行は多和田雅保さん(横浜国立大学)。窪田涼子さん(神奈川大学)による趣旨説明のあと、3人の報告がありました。
 
①泉田邦彦さん(茨城文化財・歴史資料救済・保全ネットワーク準備会)
 「茨城史料ネットのレスキュー活動―学生・被災者の視点から―」

 報告者の泉田さんは、茨城大学の大学院生で、同準備会の事務局を務めています。出身は福島県双葉町。震災直後は避難所生活を送り、実家は現在も警戒区域内となっています。このように学生と被災者という2つの視点から、資料を救う活動にどのような意義を見いだしたかを、豊富な写真とともに熱く語っていただきました。


②久留島浩さん(千葉歴史・自然資料救済ネットワーク)
 「自然災害のなかで歴史・文化・自然資料をどのように救済するか―千葉歴史・自然資料救済ネットワーク(千葉資料救済ネット)発足の経緯と意義と課題について」

 千葉歴史・自然資料救済ネットワークは今年の3月に発足しましたが、既存組織との関係や発足に至るまでの経過、発足後の勉強会などの取り組み、ここに集う人たちの想いやネットワークの地域社会に果たす役割などについて詳しく紹介していただきました。


③宇野淳子さん(神奈川歴史資料保全ネットワーク)
 「神奈川県内の資料保全活動と神奈川資料ネットの1年」

 報告者がこれまで取り組んできた首都圏地域資料情報ネットワークのこと、神奈川資料ネットの発足の経緯、これまでの活動などについて、ほぼ時系列にそって紹介するなかで、報告者自身のレスキュー活動に対する強い想いを語っていただきました。


 報告後の討論ではまず、埼玉県の林貴史さんから埼玉県や栃木県の組織化の可能性などについてコメントをいただきました。さらに、東北での実践の事例などが紹介されたほか、博物館との関係、行政組織や個人情報保護とどう向き合うかなど、今後の活動にむけた課題も多く出され、大変有意義な意見交換ができました。


 終了後の懇親会も多数参加があり、人的交流も大いにはかることができ、今後の各組織の活動にとって大変実りの多い一日でした。
(運営委員 高木秀彰)